「Discover NIHONBUYO日本舞踊へのいざない」を観てきました。
- F towako
- 2024年3月26日
- 読了時間: 3分
3月24日、国立能楽堂で舞踊公演を観てきました。
今回の演目は、3つ。
最初の一中節「都若衆万歳」美少年の踊りで華やかに始まり、
次に次に地唄「浪花一二月」上方の軽やかな舞で魅せ、
最後に長唄「連獅子」歌舞伎舞踊の素踊りで親子の情愛を、という番組構成でした。
日本舞踊には、歌舞伎でもお馴染みの「藤娘」のような、踊りや歌詞の意味がわからなくても、ただ豪華な衣装や舞台を見て楽しめる作品もありますが、
今回の公演では、日本舞踊には実に様々な表現方法があること、そして、その違いがよくわかる構成になっていたので、衣装をつけた作品とは違う楽しみ方ができました。
最初の「都若衆万歳」は藤間恵都子先生。
ここでの表現の面白さは、性差を超えた表現。
日本舞踊では男を表現する場合は足を外に開き、女は内股にします。
恵都子先生の踊る美少年は、足は男の表現方法ですが、首の傾け方や上半身のしなやかさにどこか女性っぽさがあるように感じました。
これが当時もてはやされた美少年像なのだと想像を膨らませて観ました。
そして、繁栄の継続を祈る多くの馬が詠み込まれた部分での手綱捌きの見せ方も、武将などの演目で見せるような力強い手綱捌きではなく、美少年らしい爽快な手で見せていました。
日本の伝統芸能、能や歌舞伎には、こうしたジェンダーを超えるものが多くあるところも興味深いと感じました。
次の「浪花一二月」上方の舞の表現の面白さは、この曲が”軽妙洒脱な味わい”と言われている作品だけあって、まさしくそんな雰囲気を感じました。
日本舞踊特有の表現に、扇子を使った見立てで、1年の行事を詠み込んだ作品は多くありますが、清元などと違い、一定のテンションでサラサラと軽やかに物語が進み、それでいて洒落たおどけやも感じられる舞台でした。
また、演者2人の夫婦のような雰囲気にも、江戸の武家社会とは違う、都の公家の優々たる柔らかさみたいなものが感じられ、これが上方の匂いかと思いました。
最後の「連獅子」は歌舞伎でもよく上演される作品。
本衣装では、毛を振る霊獣の荘厳な印象が強く感じられますが、今回は素踊りなので、袴姿での登場。親子の情愛がより印象的な舞台でした。
特に子獅子の健気で心がしっかりした姿が、情愛と言っても優しさだけではない厳しさも垣間見えるようでした。
子獅子の踊り手は若い女性。白の着物と灰色の袴姿に、赤い牡丹や手獅子がよく映え、髪型も工夫されていて、見た目にも凛々しさが伝わってきます。
その子獅子が、親獅子から与えられた試練で落とされた谷から、喜び勇んで駆け上がる姿を踊りで表現するのだから、毛振りではない素踊りの「連獅子」で味わう親子の情愛も良いものだなぁと感じました。
素晴らしい舞台をありがとうございました。

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