伝統芸能のお稽古をしている人に知ってもらいたいこと
- F towako
- 6月1日
- 読了時間: 3分
日本舞踊のお稽古をしている人ならば、どうしたら上手くなるのだろうか、どうやったらもっと上達するのだろうか、あの人の芸はなぜこんなにも私を惹きつけるのだろうか、どうやったらあのようになれるのか、そんな疑問を常に持っていると思います。
その疑問のヒントになるであろう動画を見つけたので共有したいと思います。
小林秀雄と岡潔による対談の書籍を分かりやすく解説してくれる動画です。リンクはページ最後に記載します。
おすすめする理由は、
「個性」「芸術の低下」「お稽古」この3つの答えが見つかるからです。
まず一つ目、「個性」について。
以前、玉三郎さんが「個性は出すものではない」とお話しされていたとこちらの記事に書きましたが、さらにその理解を深められます。
自分勝手は個性ではないということが分かりやすく解説されています。日本が誇る二人の天才も、玉三郎さんも同じことを言っていたようです。
2つ目、「知力や芸術の低下」の解説で気付かされること:芸をビジネスのように考えてはいけない。
動画抜粋:
対談 ”真善美を問題にしようとしてもできないから、すぐ実社会と結びつけて考える。”
解説者 ”すぐに役立つもの、即戦力になるものがもてはやされる”と
今、国立劇場の再建にめどが立たないことが問題視されています。
再建を心待ちにする一方で、
かつてビジネス マンだった私は、「国立」とはいえ、国立劇場の再建が、国力を高めるために優先されるべき課題なのだろうか?と、つい疑問に感じてしまいがちです。
同様に、仕事をしながらお稽古に通う人が陥りがちな罠が、お稽古をビジネス ライクに考えてしまうことだと思います。例えば時短で覚えたいとか。これが上達を妨げてしまう一因になりかねません。
3つ目:お稽古「問題を上手く出す」
昔、日本舞踊のお稽古を始めた頃に考えた持論:
振り付けを覚えるだけなら映像だけでよいのに、なぜ習い事として継承するのかと考えたときに「ミーム」が大切なのかもしれないと。(注:今はインターネットミームという言葉があるらしいがそれではない)
お稽古の時に、ただパペットのように動くのではなく、先生がなぜそう教えるのか:先生は、何に違和感を持ち、何を個人のクセだと感じるのか、先生の頭の中もコピーできるように、先生に問題を出す。
どういうことかというと、自分がお稽古で教わったことをどのように自分が受け止めたのかを実践すること、それが先生に対する問題になり、答えを教えてくれます。
小林秀雄曰く”問題を上手く出せば即ちそれが答え”だと。
そう、「問題」とは自分自身のこと。
もしもお稽古したことが「できない」と思うなら、それは「問題が作れない」=「答えが得られない」ということ。
先生に教わっているのに「問題を作る」というのはおかしな言い回しですが、この動画で「問題」と「答え」とはどういうことなのかよく分かります。
伝統芸能は時間が必要だということが肚に落ちます。
以上、
伝統芸能のお稽古は、単純な技術の習得ではなく、様々な気づきが得られることがわかる良い動画でした。36分ほどありますのでぜひYouTubeで見てください。
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