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踊ることで心と体を繋げる。長唄「賤の苧環」の経験

  • 4 時間前
  • 読了時間: 2分

以前、歌舞伎研究家の大倉直人先生の講座で、舞踊の時代の速度というものを教えていただいた。古い時代の曲ほど、テンポが遅く、例えば「いいえいいえ」という手の振り方もゆっくりだと。

頭では理解していたが、静御前の役である「賤の苧環」をやってみて、ようやく心身で理解することができた。

確かに平和で賑やかな江戸時代とは曲趣が違って、振りの手数が少なく、大間。

手数が少ない分、感情と身体を繋げて表現しなければならない。


舞踊と同じく、時代を遡るほど、人生の速度感覚は遅くなる。

タイパが重視される現代社会より江戸時代、江戸時代より鎌倉時代。

AIという新たな産業革命で、今後はもっと生活の速度感覚は速くなるはず。


現代社会を生きていると、

感情・身体・思考、どれかに偏りすぎたり負担をかけたりすることがある。


感情は時間をかけてゆっくり熟成していくほど深まる、

それに対して思考はAIの利用でどんどん速まっていく。

そして人生100年時代になり、身体という器はより長い期間使うようになっていく。


私はビジネスマンだった頃、資本主義の中で成果を上げるためなら、感情は持たない、自他ともに認めるサイボーグだった。感情はないが、情熱があったので、自分の意見を押し通すために、上司に食ってかかることもよくあった。


そんな感情に鈍感な私は「賤の苧環」をお稽古している時、時々、感情を表現するのに疲れてしまうことがあった。

そのため、お稽古で、踊り地パートになって感情から開放された時に、無意識に笑顔になってしまっていたようで先生からキャラの一貫性のなさを注意されたことがあった。

一時期、感情を表現することに疲れて、練習せずに飲みすぎて身体に支障がでた時もあった。


「踊る」という行為から得られるものは、自分自身が求め、そして受け入れれば想像以上に多くのものが得られるかもしれない。


感情・身体・思考。これらをどう繋げていくか。

日本舞踊や能などの伝統芸能のお稽古で得られる効果は、曲に向き合えば向き合うほど、それだけ多くのものが得られる。


人の感情に寄り添うことが苦手な人、あるいは誰かに感情を押し付けてしまい、その人の考えを尊重することが苦手な人、または体を動かすことが苦手な人など、様々な人にとって、伝統芸能を習うことが良い経験になるかもしれない。


白拍子・静御前・賤の苧環

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藤間都倭子

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