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小袖曽我:歌舞伎舞踊と能の違いを実感した公演
800年以上昔の曽我兄弟による仇討ち。これを題材にした作品は「曽我物」と呼ばれ、数多くある。 先日、日本舞踊協会の公演にて、歌舞伎舞踊の形式の「小袖曽我」を観た。 能の「小袖曽我」では、主役であるシテは兄の十郎。しかし、弟の五郎も両シテと言われるほど重要な役とされる。 父の仇討ちを遂げたい曽我兄弟は、母の住む里にやってきて、最後の別れをする。 「家」という当時の社会構造の重要性や、「家族」という絆や愛が描かれている。 武士の教養だった能に対し、庶民の娯楽であった歌舞伎。 今回の舞踊劇「小袖曽我」という演目にもその違いがある。 同じく曽我物である、歌舞伎で人気の「寿曽我対面」では、主役は弟の五郎が荒事として描かれている。 今回の舞踊公演での「小袖曽我」でも五郎は血気盛んな若者であったが、女性舞踊家が演じているだけあって、母を慕い敬う気持ち、兄を慕い共に仇討ちにかける熱情などが舞台に充満していて見応えがあって楽しめた。 しかし、一点だけ、どうしても腑に落ちない場面があった。それは… 【腰元が勘当を解いてくれと母に言った場面】 (私の心の声:えっ?!勘
3 日前


能も日本舞踊もどちらも素晴らしい:巴御前
2025年7月6日、観世能楽堂にて、坂口貴信師の「巴」を観た。 この人の舞姿はいつみても美しい。 「かくて御前を立ち上がり。見れば敵の大勢。あれは巴か女武者〜」からの舞姿は期待通りの勇壮な美しさが際立つ舞姿だった。 しかし、それ以上に良かったのは、その後の、義仲を置いていく時の思い入れに、胸を打たれた。この場面のために、この能が作られているように思えるほどだった。終わってからしばらく余韻が残りすぐに立ち上がれなかった。 一般的に知られている物語では、巴は義仲から東国に落ち延びるよう命ぜられて立ち去り、義仲の最期を見届けたのは兼平のはず。 なぜ能「巴」ではここで義仲を死なせる物語にしたのだろうかと、疑問だったが、この舞台を観て腑に落ちた。 さて、日本舞踊の方はというと、2023年7月22日に国立劇場で開催された二人会で観た巴御前が印象的でした。 「二人会」というのは藤間恵都子先生と、花柳基師による踊りの会。お二方とも国の重要無形文化財として指定された、総合認定の保持者ですから、見応え十分。 この時、披露されたのが新作、義太夫「鳰の湖(におのうみ)
2025年8月10日


2025都民芸術フェスティバル日本舞踊協会公演を観てきました
日本舞踊協会公演2月21日夜の部を観に行ってきました。 ●長唄「雛鶴三番叟」 翁には貫禄がある重鎮、三番叟には秀麗な美女、千歳には愛らしい娘といった印象の三人の姫が登場。 初演は諸説あって定まっていないそうですが、歌舞伎役者の子供や若手女形が演じていたとされています。 能楽の「翁」に対して、現代にこの演目が女性舞踊家のためこうして残っているのは素晴らしいことだと感じたのは、配役がニンにあっていたことが大きいのかもしれません。 品格がありながらも、舞踊らしい華やかさがありました。 ●奏風楽「海と空」 天地創造の昔より海と空は主導権を譲らず、億万年にわたり争っていたという壮大な話。 しかし、長い戦いが続き、次第に疲れ、お互いに相手の強さを称える、それは狐と狸のばかし合いのようだと、クスっと笑って腰を抜かす。 壮大な話かと思いきや、庶民らしいオチで平和に終わる。 初演が昭和44年ですから、現代の創作舞踊。 男性2人の素踊りが爽やかでした。 ●清元「お染」 猿回しが出てくることで、少年と少女の暗い物語が、ただ悲劇一辺倒になるのではなく、世間知らずの幼さを
2025年3月1日


日本舞踊の東西の違い
10月12日「東西名流舞踊鑑賞会」を観てきました。 初回の開催が1984年、国立文楽劇場 開場記念の年、 そして今回は、開場40周年記念。 お笑いなどでも東京と大阪に違いがあるようですが、 舞踊でも東西に違いがあります。 普段の生活では自覚していない、呼吸・間といったわずかな東西の違いを、こうした機会に認識できるのは興味深いことです。 私が観たのは第2部でしたので、上方舞の流派は吉村流と山村流でした。 ●地歌「珠取海士」 吉村流の珠取海士を初めて観ました。プログラムに「女舞なので艶物の要素や色気もないといけない、と教わりました」とある通りの上方舞でした。 一方、YouTubeで見ることができる四代目 井上八千代の「珠取海士」の映像では、能「海士」の玉之段をそのまま日本舞踊にした感じを受けます。 昭和32年当時52歳の舞、こちら↓必見です! https://www.youtube.com/watch?v=_4uBHlefihs 井上流は直線的で、同じ上方舞でもかなり印象が違います。 一方で、座り方にはどこか共通点があります。座敷で発展してきたからで
2024年10月13日


「Discover NIHONBUYO日本舞踊へのいざない」を観てきました。
3月24日、国立能楽堂で舞踊公演を観てきました。 今回の演目は、3つ。 最初の一中節「都若衆万歳」美少年の踊りで華やかに始まり、 次に次に地唄「浪花一二月」上方の軽やかな舞で魅せ、 最後に長唄「連獅子」歌舞伎舞踊の素踊りで親子の情愛を、という番組構成でした。 日本舞踊には、歌舞伎でもお馴染みの「藤娘」のような、踊りや歌詞の意味がわからなくても、ただ豪華な衣装や舞台を見て楽しめる作品もありますが、 今回の公演では、日本舞踊には実に様々な表現方法があること、そして、その違いがよくわかる構成になっていたので、衣装をつけた作品とは違う楽しみ方ができました。 最初の「都若衆万歳」は藤間恵都子先生。 ここでの表現の面白さは、性差を超えた表現。 日本舞踊では男を表現する場合は足を外に開き、女は内股にします。 恵都子先生の踊る美少年は、足は男の表現方法ですが、首の傾け方や上半身のしなやかさにどこか女性っぽさがあるように感じました。 これが当時もてはやされた美少年像なのだと想像を膨らませて観ました。 そして、繁栄の継続を祈る多くの馬が詠み込まれた部分での手綱捌きの
2024年3月26日


日本舞踊保存会 第1回研修成果発表会を観てきました
先日、日本舞踊保存会による第1回研修成果発表会を観てきました。 演目は、常磐津「山姥」、長唄「松の翁」、長唄「鬼次拍子舞」の3曲。 まず最初は常磐津「山姥」 近松門左衛門が、能の「山姥」をもとにして作った人形浄瑠璃、 頼光の四天王の一人、坂田金時(金太郎)と結びつけた物語をもとに山姥物と呼ばれる様々な作品が作られ、その集大成が常磐津「山姥」。 金太郎の母は、人を食う鬼女なのか、それとも福をもたらす存在なのか、どこかにいるというその存在に、人々の興味がそそられ、多くの作品ができたことや、この作品が人気曲であることも納得できます。 さて、特殊な霊力を持つ老女が、舞踊で見せる風景描写はどのようなものだろうかと期待に胸を膨らませていましたが、 残念なことに、ほぼ満席の会場で、私が座った場所は運悪く、演者の顔がかろうじて見える席で、踊り姿はほとんど見られませんでした。 次の長唄「松の翁」もほぼ見えず… 休憩時間にキョロキョロしながら空席を探し、席を移動したところ、最後の長唄「鬼次拍子舞」は演者の全身を見ることができました。 「鬼次拍子舞」は演者のちょっとし
2024年3月17日


都民芸術フェスティバル 日本舞踊協会公演
都民芸術フェスティバル参加公演、2月18日の能楽「式能」に引き続き、25日は日本舞踊協会公演を観てきました。 「式能」では、1日で5流派の能と3流派の狂言を観て、1日で流派の違いを堪能することができました。 今回の日本舞踊協会公演は、2日間昼夜の計4回の公演でした。もちろん私は藤間恵都子先生が出演される最終日の夜の公演を観ました。 25日夜の番組は、全部で5曲。地歌、長唄、常磐津、清元、大和楽と、様々な種類の邦楽での演目を楽しむことができました。 まず最初は地歌「都一二月」 古い地唄舞の骨格を残しながら、少しモダンな感じの振りとの解説がありました。 前の方の席で見たので、演者の顔から汗が流れ出ているのが見えました。京都の1年をご祝儀風に舞う、その優雅な動きからは想像できないほどの身体能力が必要なんでしょうね。 2曲目は長唄「宿の月」 西川鯉三郎の作舞。解説によると、歌舞伎などたくさんの作品を作った方で、その中の小作品とのこと。 狂言風な趣向で夫婦の情愛を描いた台詞が多い作品。 作品自体は歌舞伎でもできそうな内容でしたが、男性が女性を演じる女形とは
2024年2月27日


日本舞踊キャラバン沖縄公演を鑑賞しました
2023年12月24日、国立劇場おきなわ 大劇場 夜の部 まずは、地元のベテラン勢によるによる君が代松竹梅。 次は、尾上紫さんによる清元「幻お七」。この方の狂いモノが面白いので、 期待も膨らむ。しかし予想していたよりも、可憐な乙女で、可愛く美しかった。 いよいよ藤間恵都子先生と猿若清三郎さんの清元「神田祭」 いつもよりもずっと芝居っぽさがあって、笑いも起こり、楽しかった。 そして井上八千代先生の琉球古典音楽を使った創作。今回の公演のために振り付けされたそう。 歌詞「暁の空に 思里が姿 別れ路の涙 袖よ濡らち」「月の山の端に かかるまでも」 美しかった。 最後は、五耀会のみなさんによる長唄「七福神船出勝鬨」司会の桂吉坊さんの解説も滑らか。明るくめでたい気持ちで会が終わりました。 さて、今回の恵都子先生、踊り要素よりも、演技要素が多いから、日常にもあるような仕草をするわけですが、どんな姿をしても、江戸の香がする。形がいい。 帰りのバスで・・・ 私「今、男踊りのお稽古をしているんですけど、ああいう先生の姿を見ると、女踊りをやりたくなりますよね〜」という
2023年12月25日
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